アルベール・カミュ

ニコライ・A・バイコフ(1872~1958)
キエフ生まれのロシアの作家で、
「偉大なる王」の作者です。
王(ワン)というのは虎に冠せられた呼称のことで、
額に王、首に大という文字が、生まれながらに刻まれていました。
スーパー・タイガーの王は、満州の大森林の、
大自然の中で、王様として、
他の動物たちと共に生き生きと暮らしています。

特筆すべきはトン・リー(ツン・リー)老猟師と王との出会い、
2人(1人と1頭)の間に起こる神聖とも言える敬畏です。

しかし、森林生活は続かなかった。
鉄道建設のために、多くのロシア人が森林に入り込み、
最後に王は銃弾に倒れてしまいます。

この本と、それから戸川幸雄の「虎を求めて」
興味があおりでしたら、ご一読ください。
どちらもドキュメンタリー風です。

それではカミュのこと、
カミュ(1913~1960)は、
アルジェリア生まれで(フランスからの移民家族)、
家族は皆、文盲で、
やがて彼はパリに赴き、結核を患っていたことにより教職を逃し、
文筆活動を始め、ノーベル賞を得て、
といったことは、よく知られているとは思います。

47歳での最期の迎え方が、些かミステリアスで、
残念でもあります。
出版社の夫人や娘と総勢4人、車でパリに向かう途中、
木に衝突して、助手席のカミュは即死でした。
霜が降りた朝の道路で、
スピードもそれほど上げてはいなかったでしょう。

調べによると、タイヤが破損されていたそうです。

ハンガリーを弾圧したソ連を、批判した廉で、
(恐らく)KGBから亡き者とされてしまったのです。

夜中のうちにタイヤに穴を空けるなど簡単なことでしょう。

カミュは、しかし短命のうちに、特異な、素晴らしい作品を
書き続けたのでした。

佐々木匠(博士、あるいは教授と思いますが)
「ペスト」に関する考察です。
現代の悲劇


ブレンダ・ピゼッリの「科学と宗教」(医療と信仰)です。
Scienza e religione ne “La peste” di Camus
 イタリア語とフランス語ですが、勉強中のかたは、挑戦なさってみてください。

ドクター・リウーとパヌルー神父

フランスの植民地、アルジェリア。
アルジェリアのオラン市に黒死病とも見える病気が発生した。
しかし行政の、この病気に対する対応は遅々として進まない。
ペストと認めたくがない故か、ペストと認めた後の手段を知らぬためか。
漸く(ようやく)植民地総督府からロックダウン(地域封鎖)を
通達された時には、すでに多くの死亡者が出ていた。

突如、閉鎖されたオランで人々はパニックとなり、
自分の生活と人生が自身に提議されることとなる。

登場人物は多いです。
鬼才カミュ(鬼才というのはA.GIDEさんからの借用)は、
見事なまでに1人1人の心理、思考、行為を描いています。
(私、まだ読んだことがないのです。図書館で借りて読む心算です)
粗筋(あらすじ)、大意しか知らないのです。
それで、こんなタイトルで書くのも烏滸がましいですね(御免)

緊急事態下の人間関係と人間の深奥部を突き詰めて、
読者に突き付けて来る、
カミュは当に鋭才、フランス文学は流石です。

私の知っている限りの小説の大約をお話しますね。
多くの登場人物の中から、
リウー医師(Rieux)
パヌルー神父(Paneloux)
タルー(Tarrou) 身元不明の旅行者
3人を選びました。

パヌルー神父の説教やタルーのメモなどを記しながら、
最後に、実は、この小説はリウーの手記だったということが判明します。

イエズス会の神父パヌルーは、
「この疫病は神から与えられた罰だ。反省を促す試練だ。
今こそ悔い改めを、」と、
演壇に立って説法します。
確かに、神が疫病を持って天罰を下す箇所は、
聖書の中で、出エジプト記、申命記、他でも見られます。
しかし、パヌルーさん、新約聖書で、ルカは
「災いに遭った人は罪深いからそうなったのではない、
決してそうではない」と言っているではないですか?

この疫病は神からの恩恵なのだ。人間の魂を救済せねばならない、と
誠に殊勝な考えを持った神父さんで、いや、神父だから
そう考えるのは当然でしょう。

タルーが結成した保健隊で、リウーもパヌルーも共に働き始めます。

キリスト教を基とする神父は、
ペスト患者と真摯に向き合い、最善の施療を試みる医師リウーに向かって
「あなただって人類救済を目的としている」
神を信じないリウーは、「いや、私は健康第一としている。
人類救済なんて、そんな大それたこと!」
淡々と実直に働くリウーは、「われわれを結びつけるもののために
単に働いているだけなんだ」

われわれを結びつけるもの、当しく、それが小説中、肝要なところで、
それは共感、一体感、連帯、ということになりましょう。

無垢な、裁判官の子供の死を境に、
パヌルー、2度目の説法は躊躇いが見られます。
やがて自ら罹患してしまった彼は、
治療を拒んで死に赴きます。

タルーが言います。
「パヌル-の考えは正しいね」
「罪なき者が目を潰されるとなれば、キリスト教徒は信仰を失うか、
さもなければ目を潰されることを受け入れるかだ。
パヌル-は、信仰は失いたくない。とことんまで行くつもりなのだ」

生も死も、
神よ、御心のままに・・・
ということでしょう。

勿論、リウーもパヌルーもカミュ自身なのだと思います。
そして、タルーも。
タルーは検事の息子で、父親が1人の男に死刑の判決を下した、
その時から家を出て、人が人の命を侵害することに疑いを持ち、
理解し、共感し、心の平安を得て、
「神に依らず聖者になること」を願った人です。

三者三様ですが、みんなカミュであると思います。
私は始め、不条理、つまり不協和音というのは、
ペストという病気のことだと思っていました。
しかし、不協和音とは神(キリスト教)を基とした、
悪との葛藤、ここでは疫病との葛藤、
信仰、反抗、そして共感かと思います。

イタリアの翻訳家が、リウーをドストエフスキーの、
「カラマーゾフの兄弟」の継承としています。
確かに「カラマーゾフの兄弟」も、
人間模様と心理、果ては社会や歴史にまで及んでいる
壮大な人間ドラマではありますが、
基軸となっているのはキリスト教(普遍的な神を有する宗教)です。

イワン
「神はいるのか、いないのか?」
「いるとすれば、神がいるはずのこの世界で、何故、悪が存在するのか?
それはいったい、何のためなのか?」
「神がいないとすれば、どのような悪でも許されるのではないか?」

アリョーシャ
「キリストこそが、すべての罪のために自分自身の血を流し、
そのことによってすべての人を赦し、世界を調和させている」

この後、大審問官、と続きます。


カラマーゾフに関して、面白い感想を持たれた人がいます。
フョードルの最初の奥さん、アデライーダはタタール人。
2番目の奥さん、ソフィアが改宗したてのキリスト教で、
フョードル自身はロシアだ、と。

「ペスト」も「カラマーゾフの兄弟」も、
金の糸、銀の糸、土の色、桜色と、豊かな彩で縫われた、見事な刺繍で、
それはキリスト教という糸車で織られた布地の上に施されている、
と考えます。

因みにカミュはドストエフスキーを愛し、
「カラマーゾフの兄弟」を基にした戯曲も書きました。














パヌルー神父とゴルトムント

こちらは、前にもリンクしたことがあると思います。

Luchino Visconti Morte a Venezia 1971

「ヴェニスに死す」
ペストではなくコレラが蔓延するヴェニスで、
コレラに罹患した主人公が、少年の姿を目で追いながら、
事切れます。
トーマス・マンの小説をほぼ忠実に映画化しました。
聴こえる音楽は、
マーラーのシンフォニー第5番、第4楽章(アダージェット)です。

パヌルー神父を書きたいのですが、同じく伝染病の
「ヴェニスに死す」から導入しようとして、
男の子(タージュ)の美しさに、また見惚れて
時間が経ってしまいました。

続きを書きますが、1回では終わらないと思います。
書くというより、
「scienza e religione」(医療と宗教)からの翻訳引用です。

今、湯沸かし器の修理屋さんを待っているのです。
2週間ぐらい使えないのです。
湯沸かし器といっても日本のとは全く違います。
それ1つで、暖房にもなるしお風呂にも入れます。
全館暖房という形でパネルが全ての部屋に通っています。
30年以上前から、家を買う場合でも借りる場合でも、
湯沸かし器、パネルは、どの家にも付属として付いていました。
この家は30数年のうち、1度取り換えただけです。

最近では何もしなくても部屋の温度を保てる、
というのが増えました。
しかし住まいに関しては、ドイツ人が言うには、
ドイツの方が格段上だと。
それはそうでしょう、特に冬はドイツは暮らしやすいですものね。

ベートーヴェン シンフォニー第6番第1楽章
Beethoven - 6th Symphony - Pastoral

第6番全楽章 45分ぐらいです。
BEETHOVEN Symphony No 6 (Pastoral) in F Op 68 LEONARD BERNSTEIN

百万本のバラ
「百万本のバラ」 別府葉子 in 東京

薄紅色(うすべにいろ)で型どった、ではなく、
縁取りした、です。
間違い、すみません。Flügelさん。


more...

20年後 

オー・ヘンリーの「20年後」です。
日本語、イタリア語とも見つかりませんので
英語(字幕なし)です。

After Twenty Years
https://www.youtube.com/watch?v=9A3DBlpPMio

「20年後」 英語で朗読をしています。
https://www.youtube.com/watch?v=wHUgGilo3tM

最後の一葉 

先だって、バーソさんがコメント欄で仰っていた
「最後の一葉」
オー・ヘンリー(1862~1910 アメリカの小説家で
短編小説がよく知られている、短編の達人でした)
なかんずく有名なのが、彼の「最後の一葉(ひとは)」ですね。

漫画世界昔話でも取り上げられていたのですね。
私は漫画日本昔話が好きなのですけれど。

63 さいごの一葉

イタリアでも放映されていたのに気が付きませんでした。

Le più belle favole del mondo - L'ultima foglia
 日本から配給されたものです。
 日本のアニメ制作の偉大さ!
プロフィール

ミルティリおばさん

Author:ミルティリおばさん
住まいはイタリア、ペルージャです。
翻訳 フリーランサーです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR