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ナルチスとゴルトムント 太陽と月

ある休日に図書館で2人がお話を始めました。
人間の相違ばかりを論う(あげつらう)ナルチスに
辟易したゴルトムントが、「僕達はみんな神の子でしょう、
神に帰することが僕達の同じ目的だ」
「学術書の教理ではね。しかし生涯で、キリストの傍付きの
弟子と彼を裏切った弟子は同じ様に召し出されたのではない。」
「ナルチス、あなたはへ理屈屋だ!そう違いばかり挙げたんじゃ
僕達は近づくことは出来ない。」
「僕は真面目なんだよ、僕達は太陽と月、海と陸なんだ。
近づくことが目的ではなく、お互いを良く知ること、
補足し合うことが目的なんだ。」
ムント君は悲しそうにうつむきました。
「だからあなたは僕の言う事をマジで受け取らないんですね。」
「そうだ、僕は君の声の響き、仕草、微笑は本気で受け取っている、
でも君の思考はマジで受け取ってない。」
「そう思ってた!いつも子ども扱いするんだね。」
尚且つ力説するナルチス君、
「そうだ、君の思考はある部分まるで子供だ、子供だって頭がいい、
しかし子供が学問を語ろうとしたら学者は本気で
受け取らないだろう。」
「僕が学問を話さない時にもあなたは僕のことを笑います。
僕は修道士になりたくて一生懸命勉強してるのに。
あなたに取って僕は子供に過ぎないんでしょう!」
「学者や修道士になるには君程の貴重な資質はいらない。
君には論理や信仰が足りないのではない。君自身であることが
少な過ぎる、君がゴルトムントである時に真剣に受け取るよ。」

ムント君は驚いて傷ついて会話をやめてしまいました。

何日か経ってムント君はこの会話の続きがしたくて又ナルチス君と
始めます。ナルチスが熱く語り始めます。
僕が君に勝っているのは覚めているという点だけだ。覚めている
と言う事はつまり、知性と意識とで自分の内面の力、不合理、
傾向と弱さを知ることだ。精神と本能、意識と夢が君の中ではあまりに
遠すぎる。」
まだまだ続けるナルチス君、「君は子供時代の事を忘れてしまっている、
魂は君を探している、その声を聞かない限り苦しむだろう、君が
君自身である時に僕よりも優れている。」

君の幼年時代を忘れてしまっている、という言葉を聞いた時に
ムント君は矢に打たれた様に驚愕しました。
ナルチスは習慣から長く語る時には言葉を探す様に目を閉じ、あるいは
半ば閉じて一点を見つめ、自分の言葉に酔いしれる様に話すのでした。
ナルチス君、君は当にナルキッソス(ナーシサス)、水面に映った自分に
恋して水仙の花になった、
自分の言葉に夢中でムント君の顔から突然血の気が引き硬直したのに
気づきませんでした。
「夢想家、詩人、愛する者、彼等は思考する僕達よりもいつも
優れている、君達の原型は母だ、僕達のは父。
君達はあふれる生命の体現と愛の力がある。僕達は君達を指導し、
指揮している様に見えるが無味の中に生きている。
君達は愛の庭園で生の要を豊かに生きている。
君達の故郷は地上で僕達のは観念の中に、
君達の危険は感覚に溺れること、僕達のそれは空の中で窒息すること、
君は芸術家で僕は思索家だ、君は母の胸に眠り僕は荒野に起きている。
僕には太陽が輝き、君には月と星が。君は少女の夢を見、
僕は少年を・・・」
何本もの剣で突き刺され、青ざめたゴルトムントはナルチスが気づいて
尋ねた時に消え入る様に言ったのでした。
「あなたの前で今度も泣かなければならない。でも決して僕はそれを自分に
許さないんだ、今すぐに向うへ行って、行って下さい。あなたは怖ろしい
言葉を僕に言いました。」

ナルチスはムント君を苦境に立たせてしまいました。

長かった。端折った所も随分ありますが、ナルチスの最後の方の台詞は
ほぼ全部です。ここの箇所は原文では韻律があって詩の様に
きれいです。






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Author:ミルティリおばさん
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イタリアに住むこと30と数年、
猫と2人暮らしのおばさんです。
翻訳フリーランサーです。
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英語とドイツ語はネイティブ翻訳者との
コラボです。

2011年来、若かりし頃のジャッキー・チェンに夢中です!
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