06
1
2
4
5
6
8
9
11
12
13
14
15
16
18
19
20
23
24
25
26
27
28
29
30
   

ナルチスとダニエル院長

Den Abt liebten meistens, er hatte keine Feinde, er war voll Güte, voll Einfalt, voll Demut.
Nur die Gelehrten des Klosters mischten in ihre Liebe etwas von Herablassung;
denn Abt Daniel mochte ein Heiliger sein, ein Gelehrter jedoch war er nicht.

L’abate era generalmente amato e non aveva nemici; tutto in lui era bontà, semplicità, umiltà.
Solo gli eruditi del convento mescolavano al loro affetto un po’ di degnazione,
poiché l’abate Daniele poteva essere un santo, ma certo un dotto non era.

院長は、そのあふれる善意、質朴、謙虚さによって全ての人に愛され、
敵がなかった。 しかし修道院の学者達の、彼への愛には多少の侮蔑が混ざっていた。
院長は聖者ではあっても篤学者ではなかったからである。


Jene wenigen, welche gelegentlich Einfalt des Abtes etwas belächelten,
waren desto mehr von Narziß bezaubert, dem Wunderknaben, dem schönen
Jüngling mit dem eleganten Griechisch, mit dem ritterlich tadellosen Benehmen,
mit dem stillen, eindringrichten Denkerblick und den schmalen, schön und
streng gezeichneten Lippen. Daß er wunderber Griechisch konnte, liebten
die Gelehrten an ihm, viele waren in ihn verliebt.

Quei pochi che all’occasione sorridevano della semplicità dell’abate
erano tanto più incantati di Narciso,
il fanciullo prodigio, il bel giovane dal greco elegante, dall’inappuntabile contegno cavalleresco,
dallo sguardo calmo e penetrante di pensatore, dalle labbra severe e ben disegnate.
Gli eruditi amavano in lui la straordinaria conoscenza del greco, quasi tutti la nobiltà e la finezza; molti ne erano innamorati.

時として院長の質朴を笑う学者達は、その分だけナルチスに魅せられた。
優美なギリシャ語と、非の打ち所がない騎士の所作をした神童に、
静かに見通す思索家の眼差しと、美しい輪郭の引き締まった唇を持ち、
並外れたギリシャ語の知と、洗練された高貴さを持つ彼に、
学者達は惚れ込んでいた。


Daß er so sehr still und beherrscht war und so höfische Manieren hatte, nahmen manche ihm übel.

Ma la sua taciturnità, il suo dominio sopra se stesso, le sue maniere eccessivamente compite urtavano taluni.

中には、ナルチスが寡黙で自己制御し、務めに篤実過ぎる点に反感を持つ者もいた。


Abt und Novizie, jeder trug auf seine Art das Schicksal des Auserwählten, herrschte auf seine Art,
litt auf seine Art. Jeder der beiden fühlte sich dem andern mehr verwandt und mehr zu ihm
hingezogen als zum ganzen übrigen Klostervolk; dennoch fanden sie nicht zueinander,
dennoch konnte keiner beim andern warm werden.

Abate e novizio portavano ciascuno a modo suo il destino dell’eletto, ciascuno a modo suo dominava
e soffriva. Sentivano fra loro un’affinità e un’attrazione reciproca più forte che
verso tutti gli altri ospiti del convento; e tuttavia non riuscivano ad avvicinarsi,
a scaldarsi l’uno accanto all’altro.

院長と見習僧は選ばれた者の運命を、それぞれの仕方で舵を取り、また苦悩した。
彼らは互いが似ていることを感じ取り、
修道院の他の誰よりも、互いに強く惹きつけ合っていた。
しかし、2人は近づくことはなく、その関わり合いを温めることもなかった。


L’abate trattava il giovane con la massima sollecitudine, col massimo riguardo,
aveva cura di lui come di un fratello eccezionale, delicato,
forse precocemente maturo, forse esposto a pericoli.
Il giovane accoglieva con atteggiamento irreprensibile ogni ordine, ogni consiglio, ogni elogio dell’abate,
non contraddiceva mai, non si mostrava mai indispettito,
e se era vero il giudizio dell’abate su di lui, se il suo unico difetto era l’orgoglio,
sapeva nasconderlo meravigliosamente.
Non si poteva dir nulla contro di lui: era perfetto, era superiore a tutti.
Ma pochi gli diventavano amici davvero, tranne gli eruditi;
la sua distinzione lo circondava come un’atmosfera di gelo. (伊)

院長はこの少年を、デリケートで早熟に過ぎる、
恐らく危険に面している特別な兄弟として細心の注意を払い、
最大の配慮を持って接した。
少年は院長の命令、忠告、称賛を正しい態度で受け入れ、
逆らったり、怒りを露わにしたことはなかった。
もしも、院長の判断が正しく、少年の唯一の短所が高慢であったとすれば、
彼は、このプライドを見事に隠す術を心得ていた。
彼は全ての人に優り完璧で、文句のつけようがなかった。
しかし、学者を除いて、真の友人は僅かしかいない。
彼は氷のような冷たい清高さに包み込まれていた。

 少年と書きましたが、
 der Junge, il giovane となっています。
 少年より少し歳が上で20前の人ですが、
 こういう場合には訳すのに困るね。
 高橋健二さんは青年と訳しています。
 
 初めてこの小説を読んだ時には、人生の
 人間の小説だという風に読んだのですが、
 また読み直してみますと、これは確かに同性愛ですね。
 前は、精神化された男同士の結びつき という風に
 受け取っていましたが、それだけでもないでしょう。
 高橋健二さんは、あの時代に何と考えて訳していったのでしょうね。

 匂うばかりの官能は女とゴルトムントよりも
 ナルチスとゴルトムントにより強く感じられます。

"Soviel ich die Menschen habe kennenlernen, neigen wir,
zumal in der Jugend, alle ein wenig dazu, die Vorsehung
und unsere Wünsche miteinander zu verwechseln. Aber sage mir,
da du deine Bestimmung vorauszuwissen glaubst, ein Wort darüber.
Wozu denn glaubst du bestimmt zu sein?"
Narziß schloß seine dunklen Augen halb, daß sie
unter den langen schwarzen Wimpern verschwanden.
"Sprich, mein Sohn",  (独)

「私が知っている限り人間というのは、とりわけ若い頃は、
神の意と自分の願いを混同しがちである。しかし君は
神意を知り、天職を知っていると心得ているのだから、
ひと言それを語っておくれ。君はどんな天職を持っているのかね?」
 ナルチスは目を半ば閉じたので、長く黒い睫毛に黒い目が
隠れてしまった。
”息子よ、話しなさい”



 
 





こんばんは!

一章の始めですね。まだゴルトムントがマリアブロン寺院に
やって来る前のナルチスとダニエル院長が会話を始めるところですね。
院長がナルチスに「さあ、兄弟よ、私を評してみよ。
遠慮はいらないよ、ナルチス」
「それはご命令ですか、院長先生」
ナルチスは長い睫毛を半ば閉じたので、黒い瞳が隠れてしまった
という場面に続きますよね、
ときめいてしまいます、麗しのナルチス。
彼は永遠の憧れの人でっす。

はじめまして

読書好きと言いましても、そんなに数は読んでいません。
ヘルマン・ヘッセだったら「デミアン」と「車輪の下」
ぐらいしか読みませんでした。
エントリーはドイツ語と(多分)イタリア語の「知と愛」を
訳しなさったのですね。
過去のヘルマン・ヘッセエントリーをずっと読ませてもらいました。
興味を持てる小説です。どちらかというと
可愛い男の子からたくましい男性に成長するゴルトムントに
興味を惹かれます。
ダニエル院長、こういう人を時折見かけます。
根っからの善人で悪意がない人を。
ネット中でも時としています。丁寧な返信で親切さに
満ちているのです。でも、文脈を 文章の真意を
理解していない人。
他人の真意を汲み取るのは斯くも難しいものです。
こういう人は微笑ましいものです。その反対に自分の考えと
違うとすぐに声を荒げる人。
支離滅裂になりました。おばさまのブログに来ると
ほっとします。勇気を奮って投稿します。

再投稿です

少し書き間違えました。
ダニエル院長はナルチスのことも修道院全体のことも
よく知って把握していました。
ダニエル院長とネットで見かける善意の人とは
別です。文章を書くことは斯くも難しいです。
また、来ます。

Flügelさん

お早うございます、いらっしゃい、
フリーゲルさん。
このエントリーにもう少し書き足してみます。
ゴルトムントがこの後、登場しますね。
2人とも可愛い男の子でしたった。

読書好きの通行人さん、

初めまして。
どうも、始めから読んで頂いて有難うございます。
仰るように、
ゴルトムントがナルチスの面影を木に刻み込む時には
逞しい男となっていますね。
ナルチスも進歩を遂げ、
後にヨハネス院長となります。

車輪の下からデミアンへと、
同じヘッセには違いないのですが、
発展があります。

人様が書いたものを理解することは、
容易くはできませんですね。
同一サイトを繰り返し熟読することがあります。

大概、速読ですけれども、
読むのは楽しいです。

また、いらしてください。











Secre

プロフィール

Author:ミルティリおばさん
FC2ブログへようこそ!
イタリアに住むこと30と数年、
猫と2人暮らしのおばさんです。
翻訳フリーランサーです。
翻訳なさりたいテキストをお持ちの場合
メールにてお知らせください。
英語とドイツ語はネイティブ翻訳者との
コラボです。

2011年来、若かりし頃のジャッキー・チェンに夢中です!
お気が向いた時にいつでもいらして下さい。
お気付きの点があったらコメントして下さい。
あなたのお好きなことも自由に書き込んで下さいね!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR