10
1
2
3
5
6
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

ものぐるひ 物狂い

アルカンジェロ・コレッリ(1653~1713)の作品から
「Follia 狂気」です。直訳すれば狂気 錯乱になりますが
Folliaはバロック音楽の1つの形式です。
能書きを垂れますと、コレッリはヴィヴァルディのように
ヴァイオリニストでヴィヴァルディにも、またバッハにも
影響を及ぼしました。
Corelli : La Follia

時代が下って、イタリア・オペラに時々気が違った
錯乱した主人公が現れます。
ベッリーニにも現れますが、有名どころはドニゼッティの
「ランメルムーアのルチア」でしょう。
狂乱の場がないと、このオペラは見どころが半減してしまいます。

ルチアは本当に狂ってしまいますが、
日本の能に現れる男物狂い女物狂いは
本当に狂ってしまったわけではない。

「つれづれなるままに日ぐらし硯に向かいて心にうつりゆくよしなしごとを、
そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそ物狂ほしけれ」
吉田兼好(1200年代末)の作品(と言われる)「徒然草」序段です。
暇に任せて一日中硯に向かってしょうもない事を考え、特にこれといって
書きたいこともないまま書いているうちに物狂おしく夢中になって書きまくります。

こんな訳しでいいですか?しかし、この場合の物狂いは解るような
解らないような。
物狂おしく書き綴っていて佳い作品が出来上がったのだからそれでいいですね。

在原業平(ありわらのなりひら825~880)
「昔男ありけり」で始まる伊勢物語の主人公が恐らく在原業平であった
と言われます。彼は歌に優れた美男子であったそうな。
「昔イケメンありけり」

このかたの歌
「名にし負はば、いざ言問わん都鳥、わが思う人はありやなしやと」

東国の隅田川にやって来て京を懐かしんでいます。
(今なら2時間ですけれども昔は何日何か月とかかりましたでしょう)
隅田川を渡ろうとした時に、京では見かけない鳥が河原で遊んでいる。
渡し守に「あれ、何ていう鳥なの?」と聞けば「これは都鳥ですよ」
「それなら都鳥さんに尋ねてみよう、私の恋しい人は元気なのかな?」

室町時代の観世元雅の能曲「隅田川」は、この歌が1つの要となっています。
梅若丸という当年12になる我が子をさらわれた
(この時代も誘拐はあったのですね。
しかし身代金を要求したわけでもないのですね)
母親が東国に息子らしき子供がいると噂を聞き、
隅田川のほとりまで遠く訪ねて来たのでした。

このお話はご存知かもしれませぬ。
合い済みませんが、また明日・・・

つづき;
隅田川の乗船場です。
何とはなく人だかりがして騒がしい。
物見高い渡し守さんは「何じゃ、何じゃ?」
都からやって来た狂女と聞き、「それじゃ舟に乗るのを
待っていてやろう。しかし狂ったところを見せなければ、
狂女であることを明かさなければ舟には乗せぬ」と、
意地悪いのねえ。
狂っているのを見せろって、それじゃあ本物の狂女ではないでしょう。

「伊勢物語に登場する渡し守のように、すんなりとは
舟に乗せてはくれないのか」と狂女は嘆き
「名にし負わばいざ事問わん都鳥 我が思い人はありやなしやと」
と歌います。それで意地悪渡し守は, 大した才女だと
狂女を舟に乗せて上げます。
折しも対岸では法要が行われ、大念仏が上げられるところです。

大詰め;
渡し守が話すには一年前の今日、亡くなった男の子の供養なのだとか。
話を聞けば男の子の名は梅若丸、北白川出身で父は吉田の姓。
人買いに連れられてここまで来たが
身体が弱り道端に捨てられて息を引き取ってしまった。
「都が恋しいから都の人々の行き交うこの道端に埋めてください」
そう言い残したまま。

「ええーっ!その子の母はこの私、何としたこと」と泣き崩れます。
渡し守に連れられて亡き子の塚へと赴きますが、
その時に梅若丸の姿が現れます(現れない場合もあります)
「愛し児よ!」と抱き締めたのは塚の草だった。

「隅田川」は能楽における一番の悲劇なのだそうです。
男性が演じるには難しいような気もいたしますが。

失った吾が子を狂おしいほどに一途に思い、
尋常ではない精神状態から狂女と呼ばれるのでしょう。
女物狂いは時おり能曲に登場しますが
他の演目の狂い物は良い結末が多いです。

考えてみますれば、吾が子を思って狂ってしまった母親と
エドアルドという契りを交わした想い人がいるのに、
泣く泣く家督相続のために強制結婚をさせられて
初夜の褥で夫を刺し殺してしてしまったルチアとは
似通う主人公です。ルチアは気が狂いそのまま亡くなってしまいます。


番囃子 隅田川

2015年11月 此岸(この世)と彼岸(あの世)を結び 時代と文化を紡ぐ隅田川 ~能「隅田川」ゆかりの地~ ~アニメ「あしたのジョー」ゆかりの地~」


こんにちは!

お能や歌舞伎はどうも私には。
音楽に乏しいですね。「隅田川」をお能とオペラで結び付けた
創作オペラのようなものもあるようですが足が向きません。
お能の内容は本当に可哀想なお話で、
昔、こんな出来事も実際あったのでしょうね。山椒大夫のような
人買いがいたのでしょうね。
ランメルムーアのルチアは苦手なオペラでして観に行ったことは
あります。でも、ルチアの2つのアリアを除けると音楽を
好きになれません。
勝手なことをいつもコメントしてスミマセン。

Guten Tag!

Flügelさん、またしても鋭いです。
スクリャービンはこのオペラが嫌いだったそうです。

平岩弓枝さんの短編小説で「猩々乱れ」
能楽の謡、小鼓奏者を主人公にした
見事な興味深い作品です。

猩々乱れ を記事にしてみますね。
ルチアの2つのアリア(1つは狂乱の場のアリアでしょう)
もリンクしてみます。

ご訪問どうも有り難うございます。
Secre

プロフィール

Author:ミルティリおばさん
FC2ブログへようこそ!
イタリアに住むこと30と数年、
猫と2人暮らしのおばさんです。
翻訳フリーランサーです。
翻訳なさりたいテキストをお持ちの場合
メールにてお知らせください。
英語とドイツ語はネイティブ翻訳者との
コラボです。

2011年来、若かりし頃のジャッキー・チェンに夢中です!
お気が向いた時にいつでもいらして下さい。
お気付きの点があったらコメントして下さい。
あなたのお好きなことも自由に書き込んで下さいね!

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR