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聖フランチェスコとグッビオの狼

お腹が空いた! お母さんは狩りの仕方を教えてくれた。
仲間達から離れた僕は果物や兎を食べて暮らしていた。
でも人間がやって来て木を切り倒し、僕のものにまで
手を出した。僕の祖先も僕も兎を食べるように、人間や
彼等の動物に手を出さざるをえなかった。

騒がしいな!人間がやって来る!
木の陰に隠れよう。
2人だった。1人は遠くに離れていて、もう1人、
病んでいるように見える方が僕に近付いて来た。
「フランチェスコ、行くな!」と、遠くにいる方が声をかけた。
フランチェスコと言われた奴は胸の上で十字を切った。
彼は武器を持っていない。俺は脅してやった、ガルルルッ!
でも彼は動かない、俺が怖くないのかな? 
ガルルルッ! 足で地を蹴った。

彼は僕の前で十字を切った。
「おいで、私の兄弟、狼よ、私にも他の人間にも、神の名において
悪い事をしてはいけない。」
人間は俺に命令してはいけないんだぞ! 
でも他の奴らとちょっと違う、怖がってるが逃げない。
罠か? 悪さをするとも思えない。しっかし臭えな、この男の
衣服は。蚤も涌いていそうだ。それに何で頭に毛がないんだ!
「私はアッシジのフランチェスコだ、兄弟の狼よ、神の創造物を
神の許可なしにお前は殺してしまった。土地の者みんなを敵に
回している。でも私はお前と人間が平和であることを望んでいる。
悪いことをしてはいけない。」
「君達人間も動物だろう、人間が俺の縄張りにやって来たんだ。」

「君に約束するよ、君の生涯の平和と人間から君の生活を守る
ことを。誓いたまえ、狼君、もう悪さしないと。」
「治安を守ってくれるなら、もう人間も彼らの動物も殺しはしない。」
頭を垂れて誓った。彼は僕に右手を出した。その手に触れた。
何て柔らかい手なんだろう!
「和解するために私と町へ行こう。」
いやだけどな・・・  彼に附いて行った。

町に入るとみんなが俺を見て棒を振り上げた。
怖いな、こう数が多いと。

フランチェスコは何やら説教めいたことを、みんなに話して
町のみんなが僕に食べ物を与えてくれることを約束させていた。
でも俺、狼の矜持があるんだ、人間から施しを受けたくねえ、
と彼に言ったら、僕の住んでいる地まで送ってくれた。
約束は忘れないよ。

僕との出会いから数年後にフランチェスコは亡くなった。
そして聖フランチェスコになった。
時折考える、彼がいなかったら僕は人間の集団に殺されて
いただろうな、弱い人間の彼が、もし狼に生まれていたら、
僕達はもっと住みやすい生涯を送っただろうな。

   レオナルド・マッフィのお話から


10月4日、今日はイタリアの守護聖人、
聖フランチェスコの日です。




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No title

私、このお話のように動物と人間が登場して会話していくという童話が好きです。「幸福の王子」とかも。
会話中心の物語って用いる言葉や言い回しに左右されると思うんだけど、ミルティリさんの訳を読むと、内容がすっと体に入ってきます。

例えば、「しっかし臭えな」とか、「施しを受けたくねえ」とか、狼らしいセリフ回しも良いし、あと全体的にリズムがある所も良いです。

「ナルチスとゴルトムント」の訳を読んでいるときも、同じように感じましたっけ。リズミカルだなと。
特に、ナルチスとゴルトムントの会話に「マジで」って言葉が出たとき、この同時代に二人がいて会話している様な錯覚を覚えました。

この童話の作者レオナルド・マッフィはイタリアの方なのでしょうか。
次はどんな童話が出てくるのかと、楽しみです。

Re: No title

コメントが何故かUPしません。
時々、操作の術がないのです。

試しに返信してみます。

Re: No title

今日は、というより今晩は。
2日前の最初のコメントがupしないで
すみません。
東方異人さんのリンクもどうしても日本語で
リンクされないのです。あれこれ考えてみます。

レオナルド・マッフィは現代のイタリア人です。
フェイスブックもあります。
私がこの物語を知ったのは昨年、生徒の女の子が
話してくれたのを書き留めて置いたのです。
又、何か聞き知ったらお話しますね。

「幸福の王子」は燕と共に最後に幸せになるので
好きです。子供の頃にはよく分からなかった部分も
年取ってから読むと不思議な美しさを湛えています。
Secre

プロフィール

Author:ミルティリおばさん
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イタリアに住むこと30と数年、
猫と2人暮らしのおばさんです。
翻訳フリーランサーです。
翻訳なさりたいテキストをお持ちの場合
メールにてお知らせください。
英語とドイツ語はネイティブ翻訳者との
コラボです。

2011年来、若かりし頃のジャッキー・チェンに夢中です!
お気が向いた時にいつでもいらして下さい。
お気付きの点があったらコメントして下さい。
あなたのお好きなことも自由に書き込んで下さいね!

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