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ナルチスとゴルトムント 雪の中の出来事 2

地にどっと倒れたヴィクトルの恐ろしい呻き声は弱まり
息をしなくなりました。死に行く人の傍でがっくりと
膝をつき、「人を殺してしまった!神の御母よ、」
突然、この場にいるのが恐ろしくなった、ナイフを拾って
彼に貸したジャケットで血を拭い鞘に納めて逃げ出しました。
浴びた血を雪ですっかり洗い落とし、雪の中を彷徨い始め
ました。道も食べ物もなく、眠気もなく空腹のままで。
何度も倒れました。雪の中で眠りたい、死にたかった。

「とうとう人を殺しちゃったよ、ナルチスはいい役回り
だなあ、俺、女にモテるけど読者には嫌われてるだろうな、
みんなヘッセのせいだ!」
おばさん「そんなことないよ、正当防衛だったのよ。
おばさんはムント君の味方だよ。役回りが本当に悪かったのは
ヴィクトルでしょう。これが映画か劇場なら、あのシーンが
終わった後にヴィクトルがむっくり立って、あんたと笑いながら
肩を叩き合うんだけどね、しかたないわな。」

生への本能が彼を駆り立てて前へ進ませました。
雪を口に突っ込み、樅の葉が混じっているビャクシンの実を
食べました。鴉が数羽彼の上で飛んでいた。
睨めるムント君。
衰弱による熱に浮かされ大きな声で喋りながら歩きます。
「小さなゴルトムントはお前を驚かせただろう、狡猾な兄弟よ、
彼はお前の肋骨をくすぐったかい? 年取った大喰らいめ!」
そしてユーリエを幻想しました。あの夜、彼女と何もしなかった!
無分別で厚かましい甘言で彼女を誘った、
一緒に天に上ろう、死んでしまう前に。

乾いたヒースにつまずきながら苦痛に酔い、生への渇望に
燃えました。今度はナルチスに話しかけ始めます。
「怖いかい?ナルチス、何か見たかい?
あぁ、ナルチス神父様、世界は死にあふれている、
木々の上に、木々の陰に、窓から教会を覗いているよ、
断食しているの? 眠りが足りないのかい? 死の聖母が
君を助けてくれる。急げ、急げ、愛する友よ、野原にいる
化け物が君の鼻を、喉を、脳みそを引きちぎってしまう。
パンくずのような僕たちの脳みそを。」

ゴルトムントは死を侮辱し、冷笑して吠え立て、彼に
勝ちました。

闇雲に雪の野を彷徨って木にぶつかり、転び、最後に
気を失ったのは何日か前に泊った村でした。
人々が彼を囲んで話をしています。愛を交わした女、
クリスティーネが驚いて同情し、怒鳴る夫を他所に、馬小屋に
彼を運びました。
暖かな小屋と眠りとクリスティーネが持って来た山羊の乳で
快復しました。

Secre

プロフィール

Author:ミルティリおばさん
FC2ブログへようこそ!
イタリアに住むこと30と数年、
猫と2人暮らしのおばさんです。
翻訳フリーランサーです。
翻訳なさりたいテキストをお持ちの場合
メールにてお知らせください。
英語とドイツ語はネイティブ翻訳者との
コラボです。

2011年来、若かりし頃のジャッキー・チェンに夢中です!
お気が向いた時にいつでもいらして下さい。
お気付きの点があったらコメントして下さい。
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