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ピエトロ・マスカーニ 2

サントゥッツァはヴェルガの小説の中では脇役です。
トッツェッティ、メナーシ、マスカー二が彼女を格上げして
主人公にしたのです。彼女のアリア(ロマンザ)
Voi lo sapete o mamma, ヴォーイ ロ サペーテ オ マンマ、
「おっ母さん、知ってるでしょう」
シチリアやサルデーニャではお姑さんのこともマンマと呼ぶ
そうです。日本もそうですね。
ただtu でなくvoi と呼びかけていますね。(昔だから)
この歌は小唄風に歌っても、演歌風に歌っても素敵だと
思います。
おっ母さんと息子のトゥリッドゥはワイナリーを
経営しているものだから
最後の方でBrindisi 乾杯の歌があります。乾杯といえば
ヴェルディの椿姫の「乾杯の歌」が知名度が高いですが
このBrindisi(ブリンディシ) もなかなかいいですよ。

決闘を申し込まれたトゥリッドゥは、やはりマンマ、マンマと
歌う。マンマ、サントゥッツァをお願いね、
そして恋敵の(これはトゥリッドゥが悪い)刃に倒れ
一幕もののオペラ(田舎騎士道、郷土の騎士作法)は幕となります。

マスカー二ですと個人的には、3幕のコメディーオペラ
「Amico Fritz」アミーコ・フリッツがお気に入りです。
大きな農場で繰り広げられる領主と農家の娘スズェルの恋のお話。
スズェルの歌うアリア、Son pochi fiori, povere viole
ソン ポーキ フィオーリ、ポーヴェレ ヴィオレ
「ほんの少しの花束を、可憐な菫です」 この歌は技巧的では
ないけれど、オペラをよく知っていないと歌い難いでしょう。

Alsazia アルザスが舞台となっています。
普仏戦争、プロイセンとフランスで取り合いっこした地域ですね。
バーデン・ビュルテンベルクの近くでもありまして、
ドーデの月曜物語「最後の授業」の地でもあります。
お互いに地域を占領しても言葉まで占領しなかったでしょう。
勿論、相手国の言葉を覚えなければ生活しづらかったとは思います。
ドーデはノンフィクションでなしにフィクションとして小説を書き
祖国愛と母国語への愛情を著わしたのではないですか。
アメル先生が感極まって泣く場面はやはり心が締め付けられます。

志賀直哉さんはとんでもない事を仰っていますが、
平安朝文学、樋口一葉や中勘助の「銀の匙」などを楽しまれなかった
のでしょうか?

母国語であっても掌中に治めて自由自在に駆使できれば・・・
いいですね。

  ※志賀直哉の「國語問題」から
     戦後の混乱期に雑誌に記したものです。
    「日本は思い切って世界中で1番美しい言葉を國語に
     採用したらどうか? フランス語がいいと思う。
     何故なら仏語は世界で一番美しい言語で、フランスは
     文化の進んだ国であり、日本と合い通じるものがある」

     フランス語が美しいというのは否定しませんがね。
     特に発音が耳触りがいいですよね。
     仏語は伊語と似ているから、フランス文を読んで
     60~70%は解ります。
     言葉は使い方でしょう。
     イタリア語に関して言えば、汚い言葉も多々ありますよ。
     しかしダンテからボッカチョ、マンゾーニ、パスコリ、
     レオパルディを、エーコをロダーリをズベーヴォを
     産んだ国です。
     イタリア語でない他の原語を国語にしようという話は
     聞いた事がない。
     
     
     

ピエトロ・マスカーニ

今年は生誕10年、50年、150年祭の目白押しです。
目白というのは鶯色をした目の周りが白い、小さな小鳥さん
です。木に留まって押し競まんじゅうをします。
昔、3羽ほど飼っていたことがあり、籠の中で押し競を
ようやっとりました。真ん中の1羽を押して下方に追いやり
追い出された鳥は又もとに戻って、今度は他のを押して
追い出すのです。食事の外はこればかりしてらっしゃいました。
ソプラノでよう鳴いとりました。この鳥さんはイタリアでは
見かけません。鶯はいますよ、夏は見ません。
ホーホケキョくずしで鳴いています。
今年の夏はホオジロがいます。鈴を張るすばらしい美声で、
これが不思議、「一筆啓上仕り候」と確かに歌っています。
イタリア育ちなのにね。

で、ピエトロ・マスカー二、1863年生まれで、今年は
生誕150年です。リボルノで生まれ1945年にローマで
亡くなりました。
オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」が有名でしょう。
ヴェリズモ(写実主義、真実主義)のジョヴァンニ・ヴェルガの
小説を(ヴェルガの作風はフローヴェール、モーパッサンなど
フランスの自然主義作家の影響を受けたそうです)
ヴェルガ1840年~1922年、シチリアはカターニアの
出身です。
トッツェッティ、メナーシが戯曲にしました。それをマスカー二が
曲付けし、1888年のイタリアの若い作曲家を募ったコンクールに
出品、1位を勝ち取りました。
マスカー二、プッチーニはフランスのビゼーの「カルメン」から影響を
受けたヴェリズモの作曲家達です。プッチーニはよりロマンチック
ですね。

こういう恋愛物語も人生には必要だと割り切って聴いています、がね。
音楽的にきれいだなと思う所もあります。
「カヴァレリア」は最初の方の「オレンジの花が香り雲雀が鳴き」と
いう農夫さん達の合唱、きれいです。
4角関係のメロドラマでして主人公のサントゥッツァとトゥリッドゥが
劇の中盤で2重唱をします。歌詞は個人的には好きでないですが
音楽は悪くない、2重唱の最後にトゥリドゥに突き飛ばされたサントゥッ
ツァが「A te la mala Pasqua, spergiuro!」
ア テ ラ マーラ パスクア スペルジューロ!
と憎悪を込めて叫びます。ここはイタリア語ならではです。
イタリア人は男女とも互いに tu と呼べるから。
女性が男性に「お前には呪われた復活祭となれ!」 これでは
少々乱暴でしょう。「あなたには呪わしい復活祭になればいい」ですと
優しすぎるでしょう。 「あんたには呪われた復活祭になるがいい」、
これが妥当ですか。

このシーンの暫く後にインテルメッゾ(間奏曲)のアヴェ・マリアがあり
この曲は美しい。と書いているうちに長くなりました。
又、今度ね。続きがあります。




ウンブリアジャズ・フェスティバル

今日は7月14日、ウンブリアジャズの千秋楽です。
今年は40周年だそうですが、私はジャズに疎くてね、
どうも勿体ない話です。
歌手はチック・コリア、ハービー・ハンコック、
シモーナ・モリナーリ(イタリア人女性歌手)、
ダイアナ・クラール、それからジャレット、ピーコック、
ディジョネッテ(この3人のチケットが120エウロで
1番高額でしたかね。
最後の晩の今日はテレンス・ブラチャード・クインテットに
ガール・コスタ、ジルベルト・ジル。
座席番号なしで15エウロ~30エウロで見られます。

と私はドリーブのコッペリアを聴きながら書いとります。
私よりも気持ちの若い姉はロック・バンド、クイーンの大ファンで
尾崎豊の歌を聴くのが大変楽しみのようです。

6月末に私用で10日間程日本に帰りました。
梅雨でしたので雨にも降られましたが、爽やかに晴れた日も
ありました。久し振りで日本の空気と料理を満喫致しました。
日本の料理は味の肌理が細かい(デリケート)ですね。
と姉の料理をひたすら食べ、手作りの梅酒をひたすら飲んでいた私。
紫陽花が深い青できれいでした。

30年間使った辞書が破けてしまったので、イタリア語と
ドイツ語を買い換えました。初心に帰ったみたいで嬉しい私。
辞書と眼鏡は命の綱です。
まだまだお世話になれますように。
「ナルチスとゴルトムント」も又、再開致しますね。

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ミルティリおばさん

Author:ミルティリおばさん
住まいはイタリア、ペルージャです。
翻訳 フリーランサーです。

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