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パゾリーニ  レオパルディ

ピエール・パオロ・パゾリーニは
(俳優、劇作家、詩人 1922 ~1975)
今年、生誕100年を迎えました。
彼について記事を書きたいのですが、
時間ばかり飛んで行ってしまって。

パゾリーニの言葉をラジオで伝えてくれたので
早速。
「音楽に定義はない。聞く側の環境や、習慣、
傾向や感情などで、同じ音楽でも違ってくる」
確かに!そう言われれば。
楽譜を理論付けることは出来ても、一旦、
オタマジャクシが空中に舞い出せば、
聴く側にお任せ、ということになりますものね。

詩や小説はその傾向が少ない、とは思いますが、
時折、神秘的な(平たく言いますと訳の解らない)
詩などがあって、その1つが、
レオパルディの「無限」です。
文学に携わる人も、これは謎の詩だ、と言っているので
確かに!ナゾの詩です。
高校生、必修の有名な詩ですが、

何がナゾかって、詩を詠った時のレオパルディの心境を
私も掴めません。

   L'infinito
Sempre caro mi fu quest' ermo colle
e questa siepe, che da tanta parte
dell'ultimo orizzonte il guardo esclude.
Ma sedendo e mirando, interminati
spazi di là da quella sovrumani
silenzi e profondissima quiete
io nel pensiero mi fingo, ove per poco
il cuor non si spaura. E come il vento
odo stormir tra queste piante, il quello
infinito silenzio a questa voce
vo comparando: e mi sovvien l'eterno
e le morte stagioni, e la presente
e viva, e le suon di lei. Così tra questa
immensità s'annega il pensier mio:
e naufragar m'è dolce in questo mare.

昔、書いた記事を、そのまま再Upします。

 時を分かたず大切だった この人気のない丘
 座して眺むる
 遠い彼方を遮る木々を
 木々の向こうの
 人智を超えた広がりと静寂(しじま)と
 寂光を瞑想する
 無を前に震わんとする私の心
 風に揺らぐ、この木々の葉擦れの声に
 無限静寂と常しえを想い
 過ぎ去った昔の日々と永遠(とわ)を
 生きている今日を
 その声の中に想う
 かくの如き無限の中に
 私の思いは沈み込み
 この広い海に心地良く呑み込まれる
             ジャコモ・レオパルディ(1798~1837) 
              訳: 僭越ながらミルティリおばさん


"Il giovane favoloso" 「伝説の若き詩人」
レオパルディの若い頃を(と言ってもレオパルディは若くして亡くなって
しまいましたが)描いたジェルマーノ監督の作品がヴェネツィア映画祭に
出展されました。又イタリア系アメリカ人のフェラーラ監督による
「パゾリーニ」も出展されました。
金の獅子賞を獲得したのはスウェーデン映画「鳩」です。ヒューマニズム
悲喜劇です。

レオパルディを演じたのはマリオ・マルトーネ。
ジャコモ・レオパルディにしては美しすぎ、のきらいがあります。
マルケ州レカナーティで伯爵家に生まれたジャコモは
幼少時に脊椎側弯症、あるいは脊椎カリエスを患い、150cmに
満たない身の丈でした。せむしでした。

厳格な父親と、子供への情愛が薄い狂信家の母親に育てられました。
Mamme d'Italia とか言われてイタリアの母親は子供に情愛深く、
逞しいというイメージがあるのですが、時たまこういうお母さんが
いるんですよ。子供に無関心でまるで愛情を持ち合わせていないという。
そういう家庭の場合は父親と子供の結びつきが深くなります。

母親は狂信家というのは、勿論カトリック教信者です。
宗教というのは諸刃の剣、というより教えを受け取る側次第なので、
キリストの説法にある「種まき人の喩え」のように、当に
蒔かれる土地が重要なのですね。

モンゴメリーの夫は牧師さんでした。「赤毛のアン」はその土台に
良き宗教性がある、と思います。

「若草物語」の、姉妹達のお父さんが狂信家でした。
(これは物語を知っていないと分かり難いですね)
時は南北戦争、出征していて不在の父親(実際には宗教活動に
明け暮れて不在)なのですが、作中では出征に。
戦地からの父親の帰りを待つ4人姉妹と母親、家政婦さんらが
繰り広げる、時のアメリカ合衆国の、家庭、生活を描いていて
ひと頃、女の子のバイブルと言われた小説です。
ジョセフィン、ジョーと呼ばれる次女が、オルコット(作者自身)です。
彼女は「作中のお母様のことを万分の一も良く書けていない」
と言っているように、お母様は、
宗教を自分の中で豊かに培った人間性豊かな女性
だったのでしょうね。
このお母様には私も大変惹かれます。

レオパルディはお父つぁんも厳格、おっ母さんも宗教にばかり
夢中で子供にかまけない、で、小さな頃から人気のない丘に
逃避した、現実を逃避したのでしょう。しかし、もともと詩人の
普遍的傾向である孤独癖(孤独な魂)をも持ち合わせていた、
と解釈します。

上記の詩「無限」は高校生必修の詩です。
恐らくイタリアで一番有名な詩です。

レオパルディ21歳の時の作品です。1819年ということに
なりまして、日本では塙保己一(はなわほきいち 1746~1821)が
群書類従(古典文学)を完成出版した年でもあります。
彼は盲目の国学者でした。
日本を訪れたことのあるヘレンケラーに勇気を与えた人です。
http://denhichi.blog105.fc2.com/blog-entry-105.html
ヘレンケラーの恩人塙保己一

お時間がある時にご覧になってください。

レオパルディの「無限」 と奇しくも時が重なったのでした。


 
 
  


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ミルティリおばさん

Author:ミルティリおばさん
住まいはイタリア、ペルージャです。
翻訳 フリーランサーです。

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